肌のバリア機能を保つために必要なセラミド。
肌の角層(角質層)で水分を保持してくれる、大切な保湿成分です。
今回はこのセラミドの生成について、詳しく解説していきましょう。
Contents
角層(角質層)とセラミド
まずはセラミドが存在している角層(角質層ともいいます)についてです。
私たちの肌は「表皮」「真皮」「皮下組織」で構成されています。
さらに表皮は「角質層」「顆粒層」「有棘層(ゆうきょくそう)」「基底層」の4層に分かれています。
※手のひらと足裏のみ「透明層」が加わって5層になっています。

上図の通り、角質層は表皮の中でも最表面の層になります。
つまり「1番外側の層」なのです。
だからこの層ならではの大切な役割があります。
バリア機能
角質層の大切な働きとは、肌のバリア機能です。
城を守る城壁のように、角質層は外部からの敵(外部刺激)が肌内部に侵入しないよう守りを固めてくれています。
そして角質層の構造はまさに城壁さながらに、積み上がったレンガのようになっています。(ラメラ構造といいます)

レンガが角質細胞(角層細胞ともいう)で、すき間を埋めるセメントが細胞間脂質です。
すると細胞間脂質がしっかりレンガをつないでくれないと、隙間だらけになってしまうことになります。
つまり外部刺激の侵入を防げなくなってしまうのです。(下図参照)

ちなみにバリア機能の低下で外部刺激が入り込むだけでなく、肌内部の水分も逃げやすくなってしまいます。
さて、そうなると細胞間脂質がしっかり働いてくれるかどうかが、バリア機能の強弱を左右することになりますね。
ここで細胞間脂質の主成分であるセラミドの登場です。
セラミドは水分を挟みこみながら細胞間脂質を構成しています。
・バリア機能の強弱は細胞間脂質の働きにかかっている
・セラミドは細胞間脂質の主成分(50%以上)である
セラミドの生成力
つまり「角質層内にセラミドが足りている」=「肌をしっかりと守れている」という図式になっているのです。
ところがこのセラミドは、いつまでも一定量で生成されているわけではありません。
20代をピークに、あとは生成力は落ちていくのが通常です。
だから加齢とともに肌は水分量が落ち、荒れやすくなっていきます。

バリア機能の低下状態が続くと、小さな刺激にも反応する「敏感肌」になってしまうこともあります。
・バリア機能が強い(荒れにくい)
・水分保持力が高い(内部層も含めて)
・弾力も保ちやすい
足りない肌
・バリア機能が低い(荒れやすい)
・紫外線の影響を受けやすい
(小じわやシミのリスクが高くなる)
・肌が乾燥しやすい
こうして比較してみると、バリア機能の高さ…つまりセラミドの量が大切だということがわかります。
セラミド生成の仕組み

ではつぎに、セラミドがどうやって生成されているかについても触れておきましょう。
冒頭で解説した皮膚の構造を振り返ってみてください。
「表皮」「真皮」「皮下組織」で構成されている肌の中の、表皮に注目です。
「角質層」「顆粒層」「有棘層」「基底層」の4層に分かれています。

セラミドはまず1番下の基底層で生まれ、有棘層から角質層へとターンオーバーによって移動していきます。
この移動の過程の中で、本来の働きをもつセラミドへと生成されていきます。
ターンオーバーの乱れとセラミド
肌が新しく生まれ変わることをターンオーバーといいます。
基底層で作られた新しい細胞が角質層に到達すると、古い細胞(古くなった角質)は剥がれ落ちてチェンジ。
本来はこのターンオーバーは一定の期間(約28日)のサイクルになっています。
しかし加齢とともに遅くなっていき、30代~40代になると40日以上かかるようになってしまうのです。

加齢以外にもターンオーバーが乱れる原因はあり、紫外線や生活習慣(睡眠不足など)の影響が代表的です。
ではターンオーバーが早くなったり遅くなったりと、乱れてしまうとセラミドはどうなってしまうのでしょうか。
早いとどうなる?
「ターンオーバーが早いほうが常に肌が新しい状態」というイメージが浮かびがちですが、それは肌の未成熟を意味します。
本来の過程で作られるはずの成分が、ターンオーバーが早すぎると未完成のままで働くことになります。
これはもちろんセラミドにもいえることです。

前述したようにセラミドは基底層で生まれた後、角層に移動しながら生成されていきます。
このスピードが速すぎてしまうと、生成しきれていないセラミドが角層で働くことになってしまいます。
生成しきれていないセラミドでは、本来の大切な働きをすることができません。
遅いとどうなる?
逆にターンオーバーが遅くなるとセラミドの補充が追い付かず、セラミドが足りない肌になってしまいます。
加齢によってセラミドが減少するのは、このターンオーバーが遅くなることに原因があります。
つまり、ターンオーバーは早すぎても遅すぎてもいけません。
加齢や環境の変化などでターンオーバーが乱れていると感じたら、正常なサイクルを目指してコントロールが必要です。
生成しやすい肌にする方法

肌の保湿とバリア機能に大切なセラミドの減少を感じたら、セラミド配合の化粧品で補っていくのが1つの方法です。
しかし化粧品に頼るばかりでなく、まずはセラミドを生成しやすい肌作りを目指していきましょう!
良質な睡眠をとる
セラミドを生成しやすい肌にするには、まずターンオーバーを整えることが大切です。
ターンオーバーを整えるための生活習慣は数多くありますが、1番のおすすめは睡眠。
しっかりと良質な睡眠時間をキープするだけで、肌のターンオーバーは思った以上に整ってくれます。

ターンオーバーには日数がかかるので1日や2日ではわかりにくいかもしれませんが、試しに1ヵ月ほどしっかりと睡眠をとってみると肌質が違ってきます。
ピーリングを上手に使う
ターンオーバーが遅いと感じている場合は、ピーリングも有効な手段です。
ただし数を多くすればいいというものではありません。
過度なピーリングは肌の乾燥を招くので注意が必要です。

肌の様子をみながら10日に1回からはじめ、多くても2回までにしましょう。
ピーリングのポイントは?
スキンケアでの補助
自身でターンオーバーを整える工夫をしても、年齢肌では限界もあります。
肌の保湿力がどうしても足りないと感じたら、セラミド配合のスキンケアをとり入れていきましょう。
セラミド選びの参考に
さらにセラミド自体をとり入れるのではなく、「セラミドの生成を助ける成分」も注目されています。
代表的な成分はライスパワーNo.11です。
セラミドの生成を助ける成分として、厚生労働省は「新規効能、新規有効成分である」という認可を出しました。
皮膚水分保持能改善の認可をもらった唯一の成分ということになります。
ライスパワーNo.11って?
ほかにもセラミドの産生量を上げてくれる成分がたくさんあります。
たくさんあるよ!
セラミドが不足しない肌作り
セラミドがしっかりとある肌は、外部刺激から守られている健やかな肌です。
もちろん保湿されているので見た目も美しく、肌年齢を下げることにもつながります。
意識的にターンオーバーを整えたり、スキンケアで補充したりと、セラミドが不足しない肌作りを目指してください。